集団移転先 地盤補強で自己負担も 気仙沼

4月 17, 2015 12:41 pm

東日本大震災の防災集団移転促進事業で造成された気仙沼市本吉町の登米沢団地で、住宅建設の際に地盤補強工事が必要となり移転者が負担を求められるケースが出ています。
建築業者から地盤の強度不足を指摘されたためで、負担は数十万円から100万円に上り、移転者から戸惑いの声が上がっています。
リアス式海岸の急な斜面を造成したことが主な原因とみられ、他の被災地でも同様のケースが相次ぐ可能性があります。

登米沢団地は丘陵地の斜面に6区画が造成されました。
住宅着工済みの3区画のうち2区画で、施工した市内の建築業者から地盤にくいを打ち込む「くい基礎」が必要と指摘され、移転者が70万~80万円を負担し、残る1区画でも地盤改良に約100万円が掛かりそうだということです。
気仙沼市が造成を計画する38地区966区画のうち、登米沢団地は最も早く完成し、4月に引き渡された。
登米沢団地の地盤強度は建築基準法に基づく一般的な基準をクリアしているが、建築業者が専門業者に調べてもらったところ
(1)軟らかい層が不均一に分布する(2)盛り土がある-などの理由で地盤補強が必要と判断しました。

建築業者は「斜面の造成で盛り土部分ができたため、住宅が沈下しないよう地盤補強が必要になった」と説明しています。
登米沢防災集団移転協議会事務局長は「市が造成したのだから、移転者の負担で地盤補強が必要なんて考えもしなかったし、事前に説明もなかった」と訴えています。
市長は「国の基準にのっとって宅地造成しており、市に問題はない」と強調していますが、「自治体の基準と建築業者の判断にギャップがある」と対応を検討しました。
移転者への費用支援の可能性に関しては「他の自治体でも対応していない。国が補填(ほてん)するかどうかだ」と述べました。
山が海に迫るリアス式海岸では斜面を削って宅地造成しているところが少なくなく、平野部でも水田を埋め立てて造成している自治体が多く、防災集団移転団地の引き渡しが本格化すると、被災地で地盤補強とその費用負担の問題が広がる可能性があります。

(河北新報ニュースより一部抜粋、改変)

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